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診療内容

患者数は、1,010万8,000人、年間死亡数は、6,932人
高血圧は血圧の高い状態が続く病気です。

血圧とは、血管の中を血液が流れる際に、血管の壁にかかる圧力のことです。健康な人の血圧は、収縮期血圧(心臓が縮んで血液を送り出したときの血圧。最大血圧)が140mmHg未満、拡張期血圧(心臓が拡張したときの血圧。最小血圧)が90mmHg未満です。このいずれかが上回っている状態が、高血圧です。

血圧が高くても通常、特徴のある症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、からだの中では知らず知らずのうちに、高血圧の悪影響がじわりじわりと広がっていきます。血圧が高いということは、血管の壁に強い圧力がかかっているということですから、それを治療せずにいると、血管が傷めつけられてその老化現象が早く進んでしまうのです。血管がたくさんある所ほどその影響を受けやすく、具体的には、脳や腎臓、目の網膜などです。それに、血液を送り出す際に負担がかかる心臓も、高血圧の合併症が現れやすい臓器です。それぞれ、脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などを引き起こします。そうならないよう、高血圧と言われたら、血圧が高くならないように、いつも気をつけておく必要があります。

塩分をとり過ぎると血圧が高くなります。塩分のとり過ぎは血液の塩分濃度を高め、細胞の中の水分が血液に移行します。すると、血液の量が増え、血管の壁には強い力がかかって、血圧が高くなってしまいます。ですから、高血圧の予防・治療には、減塩が第一です。 また、太り気味の場合は減量が大切です。ですから体重を適正にすると、血圧も正常に近付いてきます。減量の効果は血圧低下だけにとどまらず、とても効率の良い治療法だと言えます。 減塩や減量と同時に、からだを動かす習慣を身に付けることもお勧めします。からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに血行を良くして血圧を下げる効果があります。ただ、血圧がかなり高い場合は、運動中に血圧が高くなり過ぎる可能性もあるので、無理は禁物です。 このほか、禁煙を心掛け、アルコールの飲み過ぎに注意しましょう。

高血圧の一般的な治療目標は、収縮期血圧/拡張期血圧の順に130/80mmHgです。ただし、75歳以上の方では140/90mmHg未満とやや緩和します。なお、これらの数値は医療機関で測定した値の目標値です。家庭内で測定した血圧値は、通常、医療機関での測定値より5mmHgほど低くなるので、上記の数値から5を引いた値を目標値とします。

患者数は、1,000万人、年間死亡数は、1万3,327人。
糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。

血糖値とは、血液の中の糖分(ブドウ糖)の濃度(濃さ)のこと。健康な人の血糖値は食事の前の空腹時で80~110mg/dLぐらいです。食事をとり、胃腸で食べ物を消化吸収し、ブドウ糖が血液の中に入ってくると、血糖値は高くなります。しかしそれでも、上限は140mg/dLぐらいです。血糖値がこれよりも高い状態を「高血糖」といいます。そして、その高血糖が続いている状態が、糖尿病です。血糖値が極端に高い場合には、命の危険もあるので緊急治療が必要です。しかし、糖尿病の患者さんがそのような危険な状態に陥ることはめったになく、通常はほとんど症状に現れない程度の高血糖です。症状が現れないのにもかかわらず、からだの中では知らず知らずのうちに、高血糖の悪影響がじわじわと広がっていきます。そして何年かたつと、「合併症」と呼ばれるさまざまな病気や身体の障害が現れます。

例えば、失明することもある糖尿病網膜症。週に約3回、半日がかりで透析を受けないと生きていけなくなる糖尿病腎症。手足のひどいしびれが続いたり、全身にさまざまな影響が現れる糖尿病神経障害。これらの合併症を起こさないために、糖尿病と言われたら、血糖値が高くならないように、いつも気をつけておく必要があります。その予防や治療には、①血糖値が高くなるようなことを控えること、そして、②血糖値が高くなりにくい体質に改善し、それを維持することです。

①の「血糖値が高くなるようなことを控える」とはどういうことかを具体的にいうと、食べ過ぎや飲み過ぎを控えるということです。食べ過ぎや飲み過ぎは、直接的に血糖値を高くする一番の原因と言えます。適切な量で、栄養バランスの良い食事をとることが、糖尿病の予防と治療につながります。

②の「血糖値が高くなりにくい体質に改善し、それを維持する」とは、血糖を効率良く利用できる体質にする、ということです。肥満、とくに内臓脂肪型肥満では、インスリンの働きが出にくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値が高くなりやすくなります。逆にインスリンが働きやすい環境(非肥満、筋肉体質)では、血糖値は高くなりにくくなります。インスリンの働きを良くするには、肥満を防止し、体重を適正にコントロールすることと、歩行、体操、筋肉トレーニングなどの運動を積極的に行い、常日頃からだをよく動かすことです。

糖尿病の治療効果は一般的に、HbA1c(ヘモグロビンエーワーンシー)という検査値で調べます。HbA1cは、採血した時点から過去1~2か月の血糖値の平均値と関連する検査値で、その時点の血糖値が正常でもHbA1cが高ければ、過去1~2か月ほどの間、高血糖であったことがわかります。合併症を防ぐために、このHbA1cを7%未満に維持することが勧められます。ただし、年齢や薬の副作用などを考慮して、少し甘くしたり、厳しくしたりすることもよくあります。

患者数は、206万2,000人
脂質異常症(高脂血症)は、血清脂質値が異常値を示す病気です。
なお、脂質異常症という病名ですが、これは以前、高脂血症と呼ばれていた状態とほぼ同じです。

血清脂質値とは、血液の中の脂肪分の濃度(濃さ)のこと。血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満です。この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、脂質異常症です。ただし、LDL-コレステロールが140mg/dL未満であっても120~139mg/dLの間は「境界域」に該当し、動脈硬化を引き起こす脂質異常症以外の病気(高血圧や糖尿病など)がある場合などは治療の必要性が高くなります。血清脂質値が異常でも、通常、症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに、全身の血管が傷めつけられます。その影響は主に、動脈硬化となって現れます。動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなります。そして、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、命も左右されかねません。脂質異常症と指摘されたら、心臓や脳の発作を起こさないため、血清脂質値(とくに悪玉のLDL-コレステロール)に、いつも気をつけておく必要があります。

脂肪分の多い食事をとると、コレステロール値が高くなり、動脈硬化の進行を早めます。具体的には、動物性脂肪である肉や卵などのとり過ぎに注意が必要です。また中性脂肪値は、食事の量自体が多すぎたり、清涼飲料水またはアルコールを飲み過ぎたり、甘いお菓子を食べ過ぎると高くなります。反対に、野菜などに豊富に含まれている食物繊維や魚油(とくにイワシなどの青魚)、それに豆腐などの大豆製品は、血清脂質値を下げたり、動脈硬化を抑制するように働きます。

また、太り気味の場合は減量が大切です。体重が適正になると、脂質異常症だけでなく、高血圧や糖尿病などの改善効果も得られます。これらの病気はすべて動脈硬化の進行を早くする要因です。減量の効果は血清脂質値の改善だけにとどまらず、全身的に好影響をもたらすところから、とても効率の良い治療法だと言えます。

食習慣の面を改善するのと同時に、からだを動かす運動習慣を身に付けることもお勧めします。からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに善玉のHDL-コレステロールを増やす効果もあります。HDL-コレステロールは、血管の内壁に沈着したコレステロールを抜き取り、動脈硬化の進行を抑えるように働いてくれます。

脂質異常症の治療目標は、LDL-コレステロールは160~100mg/dL(動脈硬化の危険性が高いほど、より低く抑える)、HDL-コレステロールは40mg/dL以上、中性脂肪は150mg/dL未満です。

心疾患の患者数は、172万9,000人、心疾患の年間死亡数は、19万6,926人。
心臓を栄養する血管(冠動脈)の血流が心臓の筋肉(心筋)の必要量に見合わない場合、心筋は虚血にさらされ病変を生じ、狭心痛を生じたり心臓の機能は著しく低下します。 1)心筋梗塞、2)狭心症などがこれに属します。

1)心筋梗塞

日本人の死亡原因の第2位が心臓の病気なのですが、その多くが心筋梗塞と、心筋梗塞から起きる心臓の病気です。心筋梗塞は、発病が直接命にかかわる非常に怖い病気です。 心筋梗塞は文字どおり、心臓に梗塞が起きる病気です。梗塞とは、ある部分で血液の流れが止まってしまい、必要な血液を得られない箇所の細胞が死んでしまうことです。

心臓の血管の動脈硬化が進み、その中で血液が固まってしまう発作が、心筋梗塞です。このため心筋梗塞の予防とは、動脈硬化の進行予防とイコールです。 動脈硬化の進行予防には、その危険因子である脂質異常症や高血圧、糖尿病などをきちんと治療すること、そして禁煙が欠かせません。血清脂質値や血圧、血糖値をしっかりコントロールすればするほど、心筋梗塞になりにくいということが、日本を含む世界中の研究から証明されています。

2)狭心症

心筋に血液を供給している血管が細くなると、心筋の血液が不足します。そのために、胸がぎゅっと締め付けられるような痛みが生じます。これが狭心症の発作です。症状が典型的なときは患者さん本人も心臓の発作だとわかりますが、胃の痛みや不快感、肩凝り、歯痛などと紛らわしいこともあります。

発作が起きるのは、冠動脈から供給される血液の量が、心筋の必要としている血液量を下回ったときです。具体的には心臓の鼓動が早くなったとき(例えば階段を上ったり重い荷物を持ち運ぶとき、入浴中など)です。健康であればどんなに鼓動が早くなっても、発作は起こりません。ところが動脈硬化で冠動脈の予備能力が少なくなっていると、狭心症の発作が起きてしまいます。 こちらを労作性狭心症といいます。

もう一つは冠動脈がけいれんして細くなり、発作が起きるパターンです。多くは何もしていなとき(例えば睡眠中)に起こることがあります。 こちらは安静狭心症といいます。

労作性狭心症は冠動脈の動脈硬化が原因の大半を占めています。その予防は禁煙、脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の治療、肥満の場合の減量で、動脈硬化の進行を抑えることです。治療としては血管を拡張する薬(ニトログリセリンなど)や、心臓の働き過ぎを抑える薬を用いたり、細くなっている血管の内部にステントという金具を入れて血管を広げる血管内手術も、よく行われます。また、バイパス手術で血液の迂回路を作ることもあります。

安静狭心症の場合は、血管拡張作用をもつ薬で発作を予防することになります。また、安静狭心症でも動脈硬化がある程度関係していることが少なくないので、前記の治療も大切です。

このような発作予防の治療を続けていても、からだを動かしているときに発作が起きたのならまず安静にし、すぐにニトログリセリンの舌下錠かスプレーを用います。ニトログリセリンは冠動脈を拡張する強い作用があり、大体これで発作は治まります。ただし舌下錠は、舌の下で溶かすことが大切で、飲み込んでしまうと体内への吸収に時間がかかり過ぎ効果がありません。ニトログリセリンを用いても発作が治まらないときは、もう一度同じ薬を用います。それでも治まらなければ、狭心症ではなく他の病気(例えば心筋梗塞)の可能性があります。すぐに救急車を呼んでください。

心不全とは「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態」をいいます。もちろん、心臓の働きのうち、どの働きが、どの程度、低下しているのか、その低下が急に起こってきたのか(急性心不全)、徐々に起こってきたのか(慢性心不全)によって、心不全の種類や程度はさまざまです。心不全は現在、欧米ではトップの頻度の疾患で、1,000人当たり7.2人とされています。このうちの約50%が、狭心症や心筋梗塞が原因となっています。

心不全の種類や程度が様々なように、その症状も実に多様です。心臓が血液を送り出す働きが低下していることによる症状として、「疲れやすい」「だるい」「動悸がする」。血液を受け取る働きが落ちたことによる症状として、肺に血液うっ滞が起こると、「息苦しさ」を生じ、体の各部分にうっ滞が起こると、「むくみ」が生じます。

心不全の初期には、坂道を上ったり、重いものを持ったりすると、息切れが激しくなります。できればこの時点で、一度、医師に相談してください。心不全が進行してくると、あお向けになって寝るとセキが続いたり、息苦しく、体を少し起こすと楽になったりします。さらに進むと、夜、突然、息苦しくなって目が覚め、起き上がっても回復にしばらく時間がかかるようになります。この時、しばしば、ぜんそくのようにヒュウヒュウ音がします。これは、すぐにも入院治療が必要な重篤な状態です。

心不全の治療法

症状が急激に悪化する場合を「急性心不全」、それなりに体全体のバランスがとれ、状態が安定している場合を「慢性心不全」といいます。風邪、過労、ストレスが引き金になって急性心不全が起こることがよくあります。一般に急性心不全の時は、入院を必要とすることが多く、安静が必要で、酸素吸入を行ったり、一時的に心臓の働きを高める薬を使ったりします。慢性心不全では、心臓に対してはむしろ過度な刺激から守る薬を用います。

1.原因となる病気の治療

高血圧は心臓の負担になるだけでなく、心臓の筋肉の質的劣化をきたしますから、そのコントロールは極めて大切です。狭心症や心筋梗塞が原因であれば、冠動脈に風船(バルーン)を入れて膨らませ、この動脈の流れをよくする風船治療や、冠動脈バイパス手術などが、心臓弁膜症では弁を人工弁と取り替える人工弁置換術などが必要になります。拡張型心筋症という心臓の筋肉自身の病気の時は、原因は不明で根本的な治療法はありません。しかし、その原因がなんであれ、心不全の状態を少しでも改善する治療法は飛躍的に進歩してきました。

2.慢性心不全の薬による治療

体内の余分な水分を取り除く「利尿剤」、心臓の働きを手助けする「ジギタリス剤」、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの「血管拡張剤」、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制する「ベータ遮断剤」などがあります。これらの薬で、心不全症状が改善したり、落ちついたりしても、症状が再発することがあります。

日常どんな注意が必要か

過労はもちろん、風邪を引いたりすると、心臓に負担がかかります。同様に長時間の入浴、熱い湯も心臓の負担となります。心不全の重症度に合わせた運動制限も必要です。肥満は心臓に負担をかけます。たばこは心臓や肺に有害です。塩分のとりすぎは体からの水分排せつの妨げとなりますから、塩分の制限は水分制限以上に重要な意味をもっています。アルコールの飲み過ぎが心不全の原因となることがあり、酒類を控えることで、心臓の働きが劇的によくなる場合があります。

不整脈は、脈の打ち方がおかしくなることを意味します。この中には異常に速い脈(頻脈)や遅い脈(徐脈)も含まれます。
皆さんが初めて不整脈に気づかれるのは、ドキドキ動悸がしたり、脈をとってみると、異常に遅かったり、速すぎたり、または飛んだり、不規則になったりしている時が多いのではないかと思います。また、自分ではまったく気がつかないのに、病院で心電図をとると「不整脈が出ています」と言われて、わかる場合もあるでしょう。

不整脈の原因として多いのは、心臓病には関係しない、年齢や体質によるものです。また年齢とともに少しずつ不整脈が増えていきます。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。心臓は1日約10万回収縮と拡張を繰り返していますが、時に規則正しくない刺激で不規則な収縮が起こると考えればよいでしょう。しかしすでに心臓の病気があると、二次的に不整脈が出やすくなるのも事実です。例えば弁膜症になると、心房や心室が大きくなって脈が乱れやすくなります。高血圧の人、肺に病気がある人、甲状腺に異常がある人も不整脈が出やすいです。
不整脈は大きく分けて3つの種類があります。脈の遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、さらに、脈が飛ぶ「期外収縮」です。一方、息を吸うと脈は速くなり、息を吐くと脈は遅くなり、運動や体温の上昇でも脈は速くなります。これらの脈の変化は病的なものではなく、生理的な反応と言えます。

どの不整脈が要注意の怖いタイプか?

「何もしていないのにふわっとする」「急に意識がなくなる」タイプは最も危険です。この場合は、一時的に心臓が止まっているか、または極端な頻脈が起こっている可能性があります。できるだけ早く病院を受診して、その原因を調べてもらい、治療を始める必要があります。
次に「脈拍数が1分間40以下で、体を動かす時に強い息切れを感じる」ケース。この時は脈が遅くなりすぎて、心不全を起こしている可能性があります。この場合、ペースメーカー治療が必要になることがあります。
三番目は突然始まる動悸です。この場合頻脈が起こっていると考えてよく、「脈拍数が1分間に120以上で、突然始まり、突然止まる」、または「まったく不規則に打つ」ものは、病的な頻脈と考えられます。多くは脈拍数が150から200前後になりますので、血圧が下がり、脈が触れにくくなり、同時に息苦しくなって冷や汗が出ます。1分間に150以上の頻脈が続く場合は、不整脈をまず停止させて、その後、頻脈を予防する薬剤を服用する必要があります。
一方、年齢とともに10人に1人くらいの割で「心房細動」という脈が速くなる状態が起こります。この場合は脈がまったくバラバラに、しかも速く打つようになります。心房細動が直接命にかかわることは少ないですが、心臓の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を起こすことがあります。そのため心房細動を予防する薬のほかに、血液を固まりにくくする薬を飲んでもらうことがあります。

不整脈の検査は?

心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、ホルター心電図、心臓超音波検査などによって行います。ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計をつけたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査です。不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、狭心症は出ていないか、などがわかります。心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に病気があるかどうかが診断できます。

1967年に川崎富作博士が、手足の指先から皮膚がむける症状を伴う小児の「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として発表された症候群が、新しい病気であることがわかり、博士の名前をとって川崎病という病名になりました。この病気は世界各地で報告されていて、とくに日本人、日系アメリカ人、韓国人などアジア系の人々に多くみられます。開発途上国ではまれです。原因はまだはっきりしていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応がおこり、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。

心臓を養っている冠状動脈(冠動脈)の血管壁の構造が、この反応によって破壊されてもろくなり、もろくなった部分が拡大して瘤(こぶ)となることがあります。これが川崎病による冠動脈障害で、後遺症と呼ばれています。注意してほしいのは、冠動脈障害が原因になって、この動脈がつまり、心筋梗塞がおこる場合があることです。心筋梗塞は動脈硬化からくる成人病(生活習慣病)ですが、こどもでも川崎病による冠動脈障害が原因となっておこる場合があるのです。川崎病による冠動脈障害は、急性期の症状とともに冠動脈に血管炎がおこってきます。その後、1~2週間して(1)血管炎のみで炎症がおさまる(2)血管の軽度の拡張(瘤なし。通常3ミリ以下)(3)瘤の出現の3つの場合に分かれます。

乳幼児の冠動脈の太さは、ふつうは2ミリ以下ですが、10ミリ以上になる場合もあります。こうした状態になると、冠動脈の内皮細胞は障害を受け、血栓ができやすくなってしまいます。瘤の中に血栓ができて生じる心筋梗塞は、川崎病の発症から1年半以内におこることが多いです。閉塞する危険性がある急性期の瘤の大きさは7ミリ以上です。

急性期にできた冠動脈瘤は、その後「一過性拡大」といって数か月で瘤がみられなくなってしまう場合があります。そうでない時は(1)数か月から数年たって瘤がみえなくなり冠動脈造影では正常にみえる場合と、(2)瘤が残る場合があります。一過性拡大は、血管壁の障害は軽く、炎症がおさまるとともに、冠動脈の太さが元に戻ります。しかし、血管壁が強く破壊されると血管壁の細胞が増殖し、血管壁が厚くなります。瘤が大きいほど、血管壁が厚くなる傾向は強くなります。これを冠動脈狭窄といいます。狭窄が出てくる時期は、発症後1、2年と、10年を経過してから出てくる場合が多いです。冠動脈障害は、年数がたつにつれ変化していく場合があるので、定期的な検査が必要です。

著書
冠動脈後遺症を伴わない川崎病既往成人の追跡状況とその予後
久馬理史(母恋天使病院 循環器内科)、舘越勇輝、松本環、西里仁男、西村光弘
心臓 50巻12号 Page 1289-1293 (2018.12)

2019年3月
心臓財団より優秀賞をいただきました

妊娠高血圧症候群

妊娠時に高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群といいます。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠と呼びます。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。収縮期血圧が140mmHg以上(重症では160 mmHg以上)、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上(重症では110 mmHg以上)になった場合、高血圧が発症したといいます。尿中に蛋白が1日当たり0.3g以上出ること(重症では2g以上)を蛋白尿を認めたといいます。

この病気は、妊婦さん約20人に1人の割合で起こります。早発型と呼ばれる妊娠34週未満で発症した場合、重症化しやすく注意が必要です。重症になるとお母さんには血圧上昇、蛋白尿に加えてけいれん発作(子癇)、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害、肝機能障害に溶血と血小板減少を伴うHELLP症候群などを引き起こすことがあります。また赤ちゃんの発育が悪くなったり(胎児発育不全)、胎盤が子宮の壁からはがれて赤ちゃんに酸素が届かなくなり(常位胎盤早期剥離)、赤ちゃんの状態が悪くなり(胎児機能不全)、場合によっては赤ちゃんが亡くなってしまう(胎児死亡)ことがあるなど、妊娠高血圧症候群ではお母さんと赤ちゃん共に大変危険な状態となることがあります。

もともと糖尿病、高血圧、腎臓の病気などを持っている、肥満、母体の年齢が高い(40歳以上)、家族に高血圧の人がいる、双子などの多胎妊娠、初めてのお産(初産婦)、以前に妊娠高血圧症候群になったことがある妊婦さんは妊娠高血圧症候群になるリスクが上がるので注意してください。

治療は、安静と入院が中心で、けいれん予防のためや重症の高血圧に対してお薬を用いることがありますが、根本的にこの病気を治す方法は知られていません。また急激に血圧を下げると赤ちゃんの状態が悪くなることがあり、降圧薬は医師が慎重に使用します。お母さんや赤ちゃんにとって妊娠を続けることが良くないと考えられた時には、たとえ赤ちゃんが早く生まれても出産が一番の治療であり、通常出産後はお母さんの症状は急速に良くなります。ただし重症化した人は、出産後も高血圧や蛋白尿が持続することがあり定期的な受診が大切です。

周産期心筋症

周産期心筋症とは、心臓病のなかった女性が妊娠・出産に際し、突然、心機能が低下し、心不全を発症する疾患です。
周産期心筋症は、①妊娠中から分娩後5ヵ月以内に新たな心不全の症状が現れる、②いままでに心臓の病気になったことがない、③心不全の原因となるものが明らかではない④心臓超音波検査(心エコー検査)にて、心臓の機能の低下が確認できる、などが特徴的な疾患です。
周産期心筋症は、国や人種によって発症頻度が大きく異なります。日本では、平成21年度に行った全国調査の結果によると、約2万出産に1人の発症頻度でした。

日本人の周産期心筋症になりやすい因子
高齢、多胎妊娠、慢性高血圧症、妊娠高血圧症候群、切迫早産の治療
周産期心筋症の症状
  1. 軽い労働をしただけで息切れがしたり、胸がどきどきしたする(約80%の人に出現する)。
  2. 喘息を患ったことがないのに、夜寝ているときに咳が出たり、息を吐くときにゼイゼイという雑音がする(約37%)。
  3. 足だけでなく、全身のあちこちにむくみを生じる(約37%)。
  4. 1週間に0.5~1kg以上も体重が増加し、むくみがひどくなることが続く(約16%)。
著書
左心室駆出率が保たれた周産期肺水腫症例と周産期心筋症症例の検討
久馬理史(母恋天使病院 循環器内科)、松本環、西里仁男、占部和之、 西村光弘
心臓 48巻2号 Page152-157(2016.02)